陽だまり

 

 

世界でいちばん大好きな人がいました

 

ずっとこの人と一緒に居るんだろうなとすら思っていました

何年も 何十年先もその人の隣に居ると思いました

 

 

本当に本当に大好きで 自分の世界はすべてその人のためにあって 毎日が宝石みたいに輝いていました

 

 

でも それを壊したのはじぶんでした

 

沢山 傷つけて 泣かせてしまいました

 

 

思ったことを口にすることが苦手で それでも欲しがるわたしに対して 頑張って考えたやさしいことばをくれる不器用なひとでした

 

歪んでいたかもしれないけど それでも幸せな あたたかい時間をくれたことを これからもずっと忘れることはないんだと思います

 

 

 

その人のおかげで知れた世界がたくさんあります

 

 

自分の知らなかった音楽を教えてくれたのも あの人でした

 

 

なにを考えているのかわからなかった時もあったけれど わたしのことを本当に好いていてくれて こんなにしあわせでいいのか泣いたこともありました

 

 

そんな優しいひとのことを泣かせてしまったのは わたしで

 

これからも続くかもしれなかった あたたかい日常を あたたかいあの人を苦しめていたのはわたしでした

 

 

もっと笑顔でいてほしかった 笑顔になる理由がわたしでありたかった

 

 

出来るなら ずっと隣にいて 最期のときまでしあわせにしたかった

 

 

本当に本当に こころから大好きでした

 

 

 

 

 

 

大好きなひとや大好きなものが そうでなくなってしまう時が自分にはとてつもなく恐ろしく感じて

 

 

誰かと一緒に居ることすら 求めようとしなくなりました

 

 

 

傷つけてしまっても 自分のことを好きでいてくれるだれかがいることが

 

自分にはそんな価値がないことが、

 

 

しあわせな時間が 長かったことで忘れていました

 

 

何処かで だれかと素敵な日を過ごしていてくれたら それだけで報われるような そんな気さえします

 

 

 

将来のことを考えてくれて わたしと居ることをずっと選んでいてくれて

 

 

本当にありがとう

 

 

 

 

想うだけで 可愛くあろうと 今日はなにを話そうかと考えるだけでそわそわして

 

不器用で すべてを包み込んでくれるような そんな人のことを好きで居られて

 

 

 

ずっと手を繋いでいたかった

 

 

後悔がないわけではないけれど

 

 

この決断が いつかお互いのためになるんだと 言い聞かせます

 

 

 

 

間違いなく わたしの世界のすべてでした

 

 

明日は 泣かないでいてくれますように

 

 

 

どうか わたしよりずっと可愛くて 貴方を大切にしてくれる誰かと素敵な日々を過ごしてくれますように

 

 

 

最後まで分かってあげられなくて ごめんね

 

 

 

 

ずっとずっと わたしのことを覚えていてね

 

 

 

レモンティー

 

 

誰も自分のことを知らない場所で 残したいと思いました

 

 

こんな時間まで、暖房をつけたあたたかい部屋で布団に包まって 外のうるさいバイクと遠くで聞こえる救急車の音に耳を傾けます

 

今日も惰性で 限りある時間を浪費しては、自分はまたこうして己の首を絞めて ただでさえ弱い心の大事なところをすり減らして 息をするのも精一杯になるほどまでにどうしようもない、そんな日々を過ごしています

 

 

 

なにをしても 続かない

 

なにをしようにも 抜け出せない

 

重い重い枷がついているみたいに動けない

 

 

こんな無駄しかないような日常で どうしたら自分が自分を助けられるかを必死に考えて その度に涙が止まらなくなって、居た堪れない気持ちになります

 

 

辛そうだけどすごく綺麗な文章を書くあの人や、

 

ずっと一緒に居たかった人と居られなかったあの人、

 

身体とこころを保てなくなって窮屈で退屈な場所から動けない大好きなあの子、

 

当たり前のように大学に通って就活を終えて旅立つだけの同級生、

 

自分より何倍も 何十倍も悲しい思い出ばかりの家庭環境で育ったあの人たち、

 

 

 

何をとっても 置いて行かれてるようで

 

 

一人 深い深い海の底に沈んでしまっていて

 

 

誰にも知らせず 今日もまた泣いているんです

 

 

外はこんなにも明るくなって あたたかい日差しが目に突き刺さるようです

 

 

自分に伸し掛る重い布団から 少し顔を出して恐る恐るカーテンを開けます

 

 

少しだけ窓を開け 冬の冷たい空気と子供の高い声、五月蝿くなった車の音でも感じながら 紅茶を淹れます

 

 

こんな自分のことも明日は 少しでも許せますように